昔、中国

紀 渚子という

闘鶏

を訓練する名人がいました。 

王の依頼で、一羽の鶏

を訓練することになりました。 

10日後、

王が催促すると

紀 渚子は答えました。 「まだで、ございます

。やみくもに、殺気立って

、しきりに敵を求めております

。」 その後も、

王は何回も催促したが、

四十日経ってようやく、紀 渚子は答えました

。 「もう大丈夫です

。側で他の鶏が、どんなに鳴いて挑んでも、一向に動ずる気配がありません

。見た

ところ、まるで、木彫りの鶏

のようです

。(これを望めば木鶏に似たり。) これは徳が充満

している証拠で、他の鶏共はその姿を見ただけで逃げて

いきます

。」 人間も同じ

です。 徳が内に充満

している人は、無言の説得力

で周囲の人々を感化

します。 『荘子』はここで理想の指導者

像を描いています

。 不世出の名横綱・双葉山は、稽古場に「木鶏」と大書とした額を掲げて

、稽古に励んだ

ということです。 連勝記録

が六十九で断たれた

とき、尊敬する先輩に

「ワレ イマダ モクケイ タリエズ」という電報を、打ったと言います

。 現在の横綱、白鵬が、大先輩である双葉山を尊敬

して、そのビデオ

を見た

り、また、双葉山の出身地である、大分県に行って

、その記念館に行ったり

、故人を偲ぶ

ようにお墓参り

もして、何とか大横綱の足跡

を辿って、自分自身も精進しようとしている姿は、誠に感銘を受けます

。 白鵬は、モンゴルの出身で、お父さん

はオリンピックのレスリング

で銀メダルを獲った人です。そのお父さん

、お母さん

が日本で愛され

る、日本の人たちに愛され

る力士になりなさい、と言ってくれたそうです

。 大学生

だった日本女性

を貰い、日本国籍

も取って、将来的に、大相撲の親方

として、後進の指導に当たりたい

、と思っているようです。 日本語もよく勉強

し、日本の習慣

、生活

にも慣れようとして、また、相撲のこともよく勉強し

て、日本に馴染もう

としている姿がよく分かります。 

スポーツ放送の

アナウンサーがその人となりを見て

、「横綱は本当に、モンゴル人なんですか?

」と質問したそうです

。 

古き良き時代

の日本人そのものなのかもしれません