歯科矯正(しかきょうせい)とは、歯並びや噛み合わせの不正を、歯やあごの骨に矯正装置を使って力を加え、ゆっくりと動かすことで改善する歯科治療のことです。単に見た目を美しくするだけでなく、機能的な問題を解決し、健康増進にも繋がります。
歯科矯正の目的:
- 不正咬合の改善:出っ歯、受け口、叢生(乱杭歯)など、正常な噛み合わせでない状態を改善します。
- 機能性の向上:食べ物をしっかり噛めるようにし、発音を改善し、顎関節への負担を軽減します。
- 審美性の向上:美しい歯並びと口元を実現し、自信に繋がる笑顔をサポートします。
- 虫歯・歯周病予防:歯並びが整うことで、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
- 顎の発育の促進:成長期のお子様の場合、顎の正しい発育を促す効果もあります。
歯科矯正の種類:
- ワイヤー矯正:歯の表面にブラケットという装置を装着し、ワイヤーを通して歯を動かす方法です。
- マウスピース矯正:透明なマウスピース型の装置を装着し、歯を動かす方法です。
- 舌側矯正:歯の裏側に装置を装着する方法で、審美性に優れています。
- 外科矯正:顎の骨格的なずれが大きい場合に、外科手術と矯正治療を組み合わせる方法です。
歯科矯正治療を受ける際の注意点:
- 専門医による診断:矯正治療は専門的な知識と技術が必要なため、経験豊富な専門医に相談することが大切です。
- 治療計画の説明:治療方法や期間、費用などについて、しっかりと説明を受け、納得した上で治療を受けることが重要です。
- 定期的な通院:治療期間中は、定期的に通院し、装置の調整や経過観察を行う必要があります。
- セルフケアの徹底:矯正装置を装着している間は、歯磨きやフロスなど、丁寧なセルフケアが欠かせません。
矯正歯科治療について

矯正治療は、審美的な要素、外観的な要素が強調されます。
歯並びが正常でない歯は、正常な歯と比べて虫歯になりやすかったり、歯槽膿漏になりやすい傾向があります。
これを改善し、外観的に良くし、日々のお口の中の清掃がしやすい歯並びにすることが矯正治療の大きな目的です。
・矯正治療のメリット
歯並びを治すことで、噛み合わせや咀嚼機能が改善し、健康面においてもよい影響があります。
キレイな歯並びはブラッシングがしやすく、虫歯や歯周病などの歯科疾患の予防に役立ち、口臭のリスクも軽減されます。
歯並びが良くなることで口元のコンプレックスがなくなり、笑顔に自信が持てるようになります。
・歯科校医として
仙台市北部の中学校で、30年以上の期間、歯科の校医をしています。
その歯科検診の際に「歯並び」のことも診るのですが、校医を始めて10年くらい経過してから、
矯正装置がお口に中に入っている生徒さんが増えてきました。
これは1つには、ご両親の「矯正」に対する理解と関心の高さを示します。
矯正治療の場合、特に「本人に治したい意志があること」「治療に対して協力的であること」が大切なことになってきます。協力的であれば、こちらからのアドバイス・指摘に対しても受け止め、「早く治したい」と思うでしょう。それらが相まって「より早く」「より正確に」治療が進んでいきます。
・成人矯正
昨今では様々な目立たない矯正装置が進んだことで、大人の方の矯正治療も一般的になってきました。
人前に出ることが多いお仕事をされている方、新社会人の方、ご結婚予定の方、長いこと歯並びの悪さが気になられている方など、
是非とも当院の矯正治療にて、目立たずに、美しい歯並びを手に入れられてみてはいかがでしょうか。
当院では患者様のお口の中の状態やライフスタイルに合わせて、お一人お一人に適した歯列矯正プランをご提案いたします。
・ブライダル矯正
結婚式に向けて行う歯列矯正をブライダル矯正と呼びます。
ブライダル矯正では、前歯が出っ歯だったり、デコボコしていたり、といった見た目に目立つところを優先的に直していきます。
一生に一度の晴れの日を最高の笑顔で迎えられるように、当院でも精一杯お手伝いをさせていただけたらと思います。
・ブラケット
ブラケットとは、歯につける小さな板状の装置です。
セラミック製・プラスチック製・金属製等々、現在いろいろな種類のものがあります。
・ワイヤー
ワイヤーとは、ブラケットの上を通す細い針金のようなものです。
〈0.014〉や〈0.016〉インチの直径で、約0.35~0.4mmくらいの太さのものを使用しますので
初めてご覧になる方は「こんなもので動くのか?」と思われると思います。
上記はステンレスワイヤーと呼ばれるもので、今までの主流でした。
近年は、その他に新しい材料、「ニッケルチタン製の形状記憶合金」、「ナイテノルヒートアクチベイテッド」と呼ばれる
新しいワイヤーも併用しています。これらの材料を使用することにより、いろいろな症例に柔軟に対応することが出来ます。
・矯正接着材料
矯正接着材料とは、ブラケットを歯につけるためのものです。
まず、歯面を清掃してブラケットを歯に付けるのですが、以前はその接着材料が弱かったり、的確に機能してくれなかったりしましたので
バンドとよばれる金属板を歯にのりまき状にして使いました。
これは、審美的にかなり悪くなります。ただし、DBS(ダイレクトボンディンディングシステム)が用いられるようになり
その中で、ある接着材料が飛躍的に向上しました。
以前どうしてもバンドを使わざるをえなかった大臼歯と呼ばれる症例でも、当院ではDBSを使用しています。
核心となるのは、セルフエッチングプライマー(SEP)、エッチングとプライマーとボンディングの作用をするものです。
それに伴う、光重合と接着剤との併用により、よりスムーズに、より短時間で歯面にブラケットを接着することが出来ます。
また、セラミックのかぶせもの、金属のかぶせものの上にブラケットをつけたい時は、以前はバンドをしてから、ブラケットをつけていたのですが、今は、全てに対応できる前処理用の接着剤が出来ましたので、SEPを塗って、ボンディング材でブラケットをつけます。
・部分矯正(プチ矯正)
1本~数本の歯並びだけを整えたい場合に最適な治療法です。
全体的に行う矯正治療よりも短い期間で、費用も安く抑えることができる矯正治療です。
全体的にではなく、前歯の歯並びだけを治したい、ちょっとした前歯のデコボコや隙間を治したい、といった方には部分矯正をお勧めしています。
・当院での矯正治療の流れ
・抜歯・非抜歯の判断について抜歯というのは、正常な噛み合わせを獲得するときに、絶対にスペースが必要であるときに行う事になります。
また顔貌との関連性も大きくあります。歯並びの状態によって、抜歯が必要にはなりますが、非抜歯という選択肢もあります。
当院では、極力そのやり方はとらずに、抜歯をしないで、保存して、矯正治療の目的を達成する方法を、選択しています。
